フィレンツェのシニョリーア広場はイタリアのルネサンスの中心である。そのシニョリーア広場で食事できるとは想像つかなかった。フィレンツェの都心部でマッシモ・ボットゥーラシェフが友達のグッチの最高経営責任者のマルコ・ビザッリと一緒にファッションと料理を合わせたプロジェクトを企てた。それはGucci Osteriaである。二人ともモデナ育ちで、それぞれの業界を大きく変えた重要人物だと認められ、力合わせて、伝統を根拠とし、オリジナルの場所を作り上げた。
オープンから2年も経たず、2019年9月にミシュラン星獲得した。
Gucci Osteriaはメルカンツィア宮殿内にあるGucci Gardenに設置されている。グッチのクリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレが考案したスペースであり、中にOsteria以外にも展示場、ブティックやシネマなど備えている。
Gucci Gardenの展示場ではツアーが可能である。グッチの代表的な洋服はもちろん、世界中の芸術家の絵画も展示されている。丁寧に説明されて、それぞれの繋がりを理解できる。ディナミックな経験で、イタリアの誇りのファッションハウスをより深く知ることができる。
経験という言葉は、Gucci Osteriaで味わったカリメ・ロペスシェフの心がこもってある料理にも当てはまる。彼女はメキシコ出身で、世界中の様々なミシュラン星付きレストランで長い経歴を積んだ。サンティ・サンタマリアシェフの2つ星のSantceloniでキャリアを始め、その次コペンハーゲンの3つ星のNoma、東京の龍吟、彼女にとって愛しいメキシコシティのPujol、スペインのMugarit、リマのCentral Restauranteで勤めてきた。
Gucci Osteriaのシェフになる前、伝説のOsteria Francescana、マッシモ・ボットゥーラシェフのもとでも勤めた。
Osteria Francescanaのスーシェフの紺藤敬彦と出会い、結婚し、イタリアを第二故郷にした。カリメは暖かいパーソナリティで、とても優しい人でした。
シェフの世界中の経験、多国籍のブリゲードや音楽への情熱を全部含めたメニューを提供している。
“Il dolce tempo ancor tutti c’invita
穏やかな時に招かれ
lasciare i pensier’ tristi e’ van’ dolori:
憂鬱な思いや苦しみを手放し:
mentre che dura questa brieve vita,
皆楽しみ、恋し
ciascun s’allegri, ciascun s’innamori.
人生が短いものなのだ。
Contentisi chi può: ricchezze e onori
わずかな物で満足:称賛や黄金が
per chi non si contenta, invan si chiede.”
無駄に欲しがるもの満足ができない。
メニューを開くとロレンツ・デ・メディチの詩が書いてあり、読むとルネサンス時代の館にいる感覚になった。Gucci Osteriaのメニュー、ルネサンス期の如き、エレガントで特殊である。メキシコ出身のシェフの国際性にあふれている料理に完璧なマリアージュのワインを勧めてくれるスタッフが皆優れている。
文化交流の街であったフィレンツェの歴史がメニューの名前の“Capitolo rinascimento”で示されている。
カリメシェフのイタリア料理の知識は食事の最初からわかる。
アントレは大昔のトスカナ料理であるパンツァネッラの国際的にしたバージョンである。
代表料理として、Tostada di Mais Violaどいう名前のメキシコ風にマリネされたハガツオである。メニューに書いてある通りに、シトラスと香り豊か一皿で、昔したメキシコ旅行を思い出した。Osteriaで食べたもので一番好きであった。
一番驚いた料理は“E Che Cappero!”という料理であった。ケッパーとアサリのリングイーネのパスタ料理であり、ケッパーの強い味と海を感じさせるアサリのバランスが見事であった。次はエイとタッコレとローストラディッシュ。タッコレはエンドウ豆の一種で、エイのリッチな味わいと良く結びつける。
肉料理の“Al bacio di chianina”はフィレンツェの代表的なキアニーナ牛の牛タンとインゲン豆である。
デザートは二種類がある:Collina dei CiliegiとPesca&Rosmarino。前者はさくらんぼうの味に溢れているデザートであり、後者はピーチとローズマリーの組み合わせでデリケートな味わいであった。
シェフの全ての料理はバランスよく、それぞれの味がしっかりしていた。
細部のこだわりと個性を含めているブランドといったら、グッチである。Gucci Osteriaはマッシモ・ボットゥーラシェフの指導のカリメ・ロペスシェフの料理と世界中に有名なグッチの出会いの成果である。男性だらけのレストラン業界に女性のシェフが選ばれたことが、世界中の女性を励ますポジティブなメッセージである。